靄の中

 夏が終わるあたりから少しやばいな、とは思っていたんだけど、もう大丈夫だと油断してた。
自ら進んで思考停止する日が続くとやがて靄の中にいるような気分になる。

 何年間かずっと靄の中を漂っていた。でもある日ぱっと光が射してきて、それまで辺りを覆ってた靄もすぅっとひいたような日々が少しだけ続いた。
 時折霞む日があってもすぐに晴れて、靄の取っ払い方が分かってきたのかもな、よし、と思ってたら、徐々にまた分厚いものに覆われてしまった。抜け出さないと、抜け出さないとって思うんだけど、いつの間にかそういう気持ちさえなくなってくる。

 靄の中にいるときはたいていのものが霞んでみえる。時々おだやかであたたかな気持ちになった日のことを思い出したりもする。ぼんやりしながら暗くなるのを待つ。